第41回 相対的位置と絶対的位置

■ 四谷大塚が、入試結果グラフを発表しています。これは合不合の成績分布に対して、いったいどのくらいの割合で合格者が出たのかを学校別に統計処理したものです。たとえばA中学校で偏差値60の生徒が100人いたとして、50人が合格し、50人が不合格であれば、この偏差値が合格可能性50%の目安になります。(あくまで目安ですが。)

■ 中学入試はすべての学校が独自入試です。したがって問題の出題傾向は全部違うので、それを考慮にいれることは難しい。そこで全体を統計処理して相対的位置を偏差値でつけて、合格可能性をはかるわけですが、例えば合格可能性80%でも20%が残念な結果になり、合格可能性20%でも20%の子は合格しているのです。もちろん80%以上の合格可能性があった子も実際の入試で失敗すれば合格できないわけですが、しかし、ある意味これだけ差が出てきてしまう。

■ しかし、多くの皆さんはやはり偏差値で合格可能性をはかるでしょう。これが一理あることは事実ですが、しかし、絶対的なものではない。むしろ私が大事だと思うのは、志望校の入試問題に対して「合格点をとれる」か?ということです。

■ 例えば模擬試験の偏差値は悪いは、過去問は合格点が取れる、という子はいます。この子は偏差値としては合格率は高くないが、だいたいの場合は合格していく。つまり合格可能性20%で合格するタイプです。では、なぜ合格点をとれるのか?

■ 学校の入試問題に特化してできるようになっている、からでしょう。例えば国語の記述だけはできる、というようなことが確かに勉強していけばあり得ます。この子は、例えば文学史はちんぷんかんぷんかもしれない。でも、国語の記述は良く書ける。で、入試は文学史が出ないので、国語の記述が出来れば合格する、ということがあり得るわけです。

■ これは当然優先順位の問題なのです。中学受験の範囲は指導要領上で言えば中学2年程度まであります。それをすべて網羅するということは、やはり大変な労力がかかる。だとすれば、それに優先順位をつけて、まず出るものから勉強する、というのはある意味合理的な対策だと思います。

■ したがって志望校が決まったら、志望校の問題に対して「合格点がとれる」という絶対的位置をまず目指すべきです。偏差値がいくつであるか、ということよりも、まず志望校の問題ができないと意味がない。相対的位置にはもちろん理があるのですが、それ以上に学校別の対策には理があると思うのです。

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